前回の記事では、自宅サーバーとは何なのか、そして自宅サーバーを使って何ができるのかを紹介しました。
実際に自宅サーバーを作ってみようと思ったとき、最初に悩むのが、
「どんなPCを使えばいいの?」
という問題です。
自宅サーバーだからといって、専用の高価なサーバーを用意する必要はありません。
使わなくなったPCを再利用することもできますし、Raspberry Piのようなシングルボードコンピューターや、小型のミニPCを使う方法もあります。
ただし、それぞれ価格や性能、消費電力、拡張性などに違いがあります。
今回は、自宅サーバー用として候補になりやすい
- 余っている・中古のPC
- Raspberry Pi
- ミニPC
の3種類を比較しながら、どんな用途に向いているのか考えてみます。
自宅サーバー用PCで重要なポイント
普通に使うパソコンと、自宅サーバー用のパソコンでは、少し重視するポイントが違います。
自宅サーバーでは、次のような点を確認しておきたいところです。
消費電力
特に重要なのが消費電力です。
自宅サーバーを24時間稼働させる場合、PCも24時間電力を消費し続けます。
例えば平均消費電力が10Wの場合と50Wの場合では、1年間でかなりの差になります。
10Wなら、
10W × 24時間 × 365日 = 約87.6kWh
50Wなら、
50W × 24時間 × 365日 = 約438kWh
です。
実際の消費電力はCPU負荷や接続するストレージなどによって変化しますが、24時間運用するなら本体価格だけでなく消費電力も考えて選びたいところです。
CPU性能
自宅サーバーにものすごく高性能なCPUが必要とは限りません。
ファイル共有やPi-holeなど比較的軽い用途なら、それほどCPU性能は必要ありません。
一方、
- 写真・動画管理
- 複数のDockerコンテナ
- ゲームサーバー
- 動画変換
- 複数ユーザーでの利用
などでは、ある程度CPU性能に余裕があった方が快適です。
「何に使うのか」を先に考えておくことが重要です。
メモリ容量
メモリも用途によって必要な容量が変わります。
軽い用途なら4GB程度でも動かせますが、複数のサービスを同時に動かしたいなら8GB以上あると使いやすくなります。
Dockerを使って、
「NASも動かしたい」
「Immichも使いたい」
「ほかのサービスも試したい」
となってくると、メモリには余裕が欲しくなります。
これから新しく購入するのであれば、個人的には8GB以上を一つの目安として考えたいところです。
ストレージ
自宅サーバーでは、ストレージ構成も重要です。
OSやアプリケーションを動かすだけなら、それほど大容量のSSDは必要ありません。
しかし、
- 写真
- 動画
- PCのバックアップ
- スマートフォンのバックアップ
などを保存し始めると、必要な容量は一気に増えていきます。
そのため、
OS・アプリケーション用SSD
と
データ保存用SSD/HDD
を分ける構成も便利です。
将来的にどのようにストレージを増設できるかも確認しておきましょう。
有線LAN
自宅サーバーなら、できれば有線LANで接続したいところです。
Wi-Fiでもサーバーを動かすこと自体はできますが、大容量のファイルを転送したり、安定して24時間接続したりする用途では有線LANが便利です。
一般的なGigabit Ethernet(1GbE)に対応していれば、多くの家庭用途では十分使えます。
大量のデータを頻繁に転送する場合は、2.5GbE対応のミニPCなども候補になります。
選択肢1:余っているPC・中古PC
最も安く始められるのが、家に余っているPCを使う方法です。
例えば、
「Windows 11に対応していないので使わなくなった」
「新しいPCに買い替えて余っている」
といったPCでも、自宅サーバーとして再利用できる場合があります。
Ubuntu ServerなどのLinuxをインストールすれば、Windowsでは少し古く感じるPCでも十分活用できます。
メリット
最大のメリットは、すでにPCを持っていれば追加費用がほとんどかからないことです。
また、一般的なデスクトップPCなら、
- HDD
- SSD
- メモリ
- LANカード
などを後から追加しやすいというメリットもあります。
特に複数のHDDを搭載してNASのように使いたい場合は、デスクトップPCの拡張性が役立ちます。
デメリット
一方で、古いPCは消費電力が大きい場合があります。
24時間365日稼働させる場合、本体を無料で入手できても電気代が高くなってしまう可能性があります。
本体サイズが大きかったり、ファンの音が気になったりすることもあります。
まず自宅サーバーを試してみる用途には非常に良いですが、長期間24時間稼働させるなら消費電力を測ってみるのがおすすめです。
選択肢2:Raspberry Pi
小型コンピューターのRaspberry Piを自宅サーバーとして使う方法もあります。
Raspberry Piは本体が非常に小さく、消費電力も比較的小さいため、24時間動かす機器との相性が良いです。
Raspberry Piが向いている用途
例えば、
- Pi-hole
- 小規模なファイルサーバー
- Webサーバー
- VPN関連
- Home Assistant
- 電子工作と組み合わせたIoTサーバー
などがあります。
GPIOが使えるため、センサーなどと組み合わせられるのも普通のPCにはない特徴です。
Raspberry Piの注意点
Raspberry Piを購入するときは、本体価格だけで考えない方がよいでしょう。
実際に使用するには、
- 電源
- microSDカードまたはSSD
- ケース
- 冷却ファンやヒートシンク
などが必要になる場合があります。
これらを揃えていくと、意外と総額が大きくなることがあります。
「安いサーバーを作りたい」という理由だけでRaspberry Piを選ぶ場合は、ミニPCとの総額を比較してみるのがおすすめです。
また、x86系PCとはCPUアーキテクチャが異なるため、使用したいソフトウェアが対応しているか確認する必要があります。
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またラズパイの始め方について記事を書いているためぜひご覧ください。

選択肢3:ミニPC
新しく自宅サーバー用のPCを購入する場合、かなり気になる存在がミニPCです。
手のひらに載るほど小さな本体でも、一般的なPC向けのCPU、メモリ、SSD、有線LANなどを搭載した製品があります。
特に低消費電力CPUを搭載したモデルなら、24時間稼働させる自宅サーバーとも相性が良さそうです。
ミニPCのメリット
まず本体が小さいこと。
ディスプレイやキーボードを常時接続する必要がない自宅サーバーなら、小型というメリットをかなり活かせます。
初期設定後は棚の隅などに置いて、別のPCからSSHで操作できます。
また、一般的なx86-64環境の製品であれば、Ubuntu ServerやDockerなどを使いやすいのもメリットです。
製品によっては、
- 2.5GbE
- Wi-Fi
- NVMe SSD
- SATA
- 複数のUSB 3.x端子
などを備えているため、自宅サーバーとしてかなり使いやすそうです。
ミニPCのデメリット
一方で、デスクトップPCと比べると拡張性は低くなります。
特に注意したいのがストレージです。
複数の3.5インチHDDを本体内部に搭載できるミニPCは一般的ではないため、大容量NASとして使用する場合はUSB接続のHDDケースなどが必要になることがあります。
また、ミニPCはメーカーや機種によって、
- 冷却性能
- SSDやメモリの交換可否
- LANの仕様
- USB端子の数
- BIOSの機能
などに差があります。
価格やCPUだけでなく、このあたりも確認して選びたいところです。
3種類を比較してみる
ここまで紹介した3種類を簡単にまとめると、次のようになります。
| 中古・余りPC | Raspberry Pi | ミニPC | |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | ◎ | ○ | ○ |
| 消費電力 | △〜○ | ◎ | ◎〜○ |
| CPU性能 | ○〜◎ | △〜○ | ○〜◎ |
| 拡張性 | ◎ | △ | △〜○ |
| サイズ | △ | ◎ | ◎ |
| HDD増設 | ◎ | △ | △ |
| Linux | ◎ | ◎ | ◎ |
| 電子工作 | △ | ◎ | △ |
※性能や消費電力などは機種によって大きく異なります。
こうして見ると、それぞれ得意分野が違います。
結局どれを選べばいい?
とりあえず自宅サーバーを試したい
家に余っているPCがあるなら、まずはそれを使ってみるのがおすすめです。
Ubuntu Serverをインストールして実際にサーバーを構築してみれば、
「自宅サーバーで何をしたいのか」
が分かってきます。
最初から機材を購入しなくても、自宅サーバー自体を体験できます。
Pi-holeやIoTなど軽い用途
軽いサービスを24時間動かしたり、電子工作と組み合わせたりするならRaspberry Piが面白い選択肢です。
GPIOを利用できるため、普通のPCとは違った使い方もできます。
新しく自宅サーバー専用機を買いたい
新しく専用機を購入するのであれば、ミニPCは有力な候補です。
小型で比較的消費電力を抑えやすく、一般的なPC向けLinux環境を利用できるためです。
特に、
「Dockerでいろいろ遊びたい」
「Immichを動かしたい」
「NAS以外にも使いたい」
という場合は、ある程度CPUやメモリに余裕のあるミニPCが使いやすそうです。
ミニPCを選ぶなら何を確認する?
自宅サーバー用としてミニPCを探すなら、最低限確認したいのは次のポイントです。
CPU
軽い用途なら低消費電力CPUでも十分ですが、写真管理なども行うならある程度余裕を持たせたいところです。
メモリ
複数のサービスを動かすなら8GB以上を目安に考えたいです。
将来的に増設できるかどうかも確認しておくと安心です。
SSD
OSだけならそれほど大容量でなくても構いませんが、Dockerなどを使っているとデータが増えていきます。
SSDを交換・増設できる機種だと便利です。
LAN
最低でもGigabit Ethernet、できれば2.5GbE対応なら将来的にも使いやすそうです。
USB
外付けHDDなどを接続するならUSB 3.xポートの数も重要です。
以下などがおすすめです。
まとめ
自宅サーバー用のPCは、必ずしも高価なものを用意する必要はありません。
家に余っているPCがあるなら、まずはそれを使うのが最も手軽です。
軽いサービスや電子工作用途ならRaspberry Pi、小型で比較的低消費電力な専用機が欲しいならミニPCという選択肢があります。
重要なのは、
「自宅サーバーで何をしたいのか」
を考えてから機材を選ぶことです。
参考になれば幸いです。




